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作曲でPTSDを改善する


以前に集中治療室における音楽療法で痛みや不安の軽減を認めることをご紹介しました。(記事:音楽療法の効果について

音楽による精神症状の軽減については、まだしくみも詳しくは分かっていません。特に日本においては、中心として行う薬物や心理療法に、レクリエーションの一環として追加で行われることがあるという位置づけだと思われます。

しかし、音楽療法は脳の変性疾患や疼痛を伴うあらゆる病態を含む広い応用範囲を持っており、治療効果を実証した論文も多くみられます。

今回はPTSD(心的外傷後ストレス障害)への作曲を含めた音楽療法に関する発表をご紹介します。

協働作曲:PTSDや頭部外傷を伴う退役・現役軍人に対する音楽療法

PTSD(一部は頭部外傷も含む)に罹患した現役・退役軍人10人に対して、2時間でソングライターと共同で1曲の作品を作りあげる音楽療法を行いました。そして、その後フォローアップとして4週間は毎日その作品を聴きました。

これには単なる音楽の鑑賞とは異なり、他者との感情の共有やそれが形になっていくことへの喜び、そしてその後、結果を確認して自己の効力感を高められる過程を含んでいるように思われました。

結果として、PTSDやうつの症状の程度を表す指標が非常に(PTSDで33%、うつで22%)減少し、観察上も大きな違いを認めました。

ごく少人数の比較対照もない報告ですが、これだけ大きな効果を認めると、その適用の可能性に非常に説得力があるように思われました。

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