企業の問題解決(意思決定)をシンプルな図で表現した内容です。
大雑把に言えば、「企業の強み・思い」という円と、「生活者の本音」という円が重なる領域に問題解決があるという説明をしています。
このあたりの原則について「はじめに」で以下のように書かれています。
「……それは『相手の切実な問題』を捉えて、『自社のできること』をそこに重ねて、問題を解決することです。『問題解決』と捉えてしまうと難しい手法や分析が必要と思われがちですが、そんなことはありません。マーケティングを知らなくても、『誰』の『どの問題』を解決するために自分は仕事をしているのか、相手さえわかれば、あとは自分のできることと重ねればいいのです。」
この本の特徴は二つの円の重なりというシンプルな構造で、私たちのほとんどが知っていると思われる製品や会社のマーケティング事例を豊富に説明している点です。
例えば……
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンはどのようにしてV字回復させたのか?
国内で累計100万台を超えるロボット掃除機「ルンバ」はどのようにして生まれたのか?
「ネスカフェ」はどのようにしてオフィスコーヒー市場で成功したのか?
「Wii U」はどのようにしてお茶の間に受け入れられたのか?……etc
有名な事例が30個示されていますので、最初はピンと来なかったものが、最後のほうになるとなんとなく発想の方法としてつかめてきます。
要するに思い込みを排し、他者が求めるものと、自分が持っているものを冷静に眺めることで、選択肢を広げ、そして絞り込む……そのようなパターンが見えてくるように思えます。
問題解決を学ぶためでなくても、「あの製品はこんな思いで作られた(売られた)のか!」と驚きがあって楽しい内容となっています。ちょっとでもマーケティングに興味のある方にはおすすめの本です。