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レム睡眠行動障害と神経変性疾患の関連


睡眠時の無意識の運動(行動)について「レム睡眠行動障害」が指摘されることがあります。

通常、睡眠時には運動に使われる骨格筋の緊張が低下した状態にあり、「レム睡眠」と言われる、脳が比較的活発に機能している睡眠状態にあったとしても、実際に運動してしまうことはありません。

しかし、何らかの原因で、筋肉の緊張が低下せず、脳からの信号により運動できる状態である場合には、睡眠中であるにも関わらず、ご本人が意識しないまま様々な行動をしてしまうことがあります。

原因となる疾患にはパーキンソン病、レビー小体型認知症(レビー小体病)、多系統委縮症等が知られていますが、基礎疾患の分からない病態も多く存在します。

今回はレム睡眠行動障害(RBD)が、パーキンソン病等の神経変性疾患をより早く発見するための症状として有用ではないかという内容の記事をご紹介します。

レム睡眠行動障害:神経変性疾患発症を早期に予見する窓

世界中24の施設から集められた1280人から成るコホート(研究対象となる集団)において、RBDの存在のみでなく、運動機能、色覚、嗅覚等の様々な機能検査が行われました。

平均の追跡期間は3.8年でRBDが存在した患者の28%がパーキンソン病、レビー小体病、多系統委縮症のいずれかを発症し、12年間の追跡では73.5%の発症を認めました。

さらに、色覚等の機能検査を合わせて判断するとさらに予測因子としての精度が高まることが指摘されています。

パーキンソン病においては、症状が明らかとなり診断が行われた時点で、黒質線条体細胞の70%以上が死滅していることが指摘されており、早期にその病態を発見することが重要であると言われます。

また、早期に診断することにより、開発が進められている生化学的な治療法が有効である可能性も高まることが考えられており、今後の診断技術の向上が望まれるところです。

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