メディアと自殺との関連性について良く話題に上りますが、実際にどの程度、テレビなどの媒体が自殺者数に影響を及ぼすのか確かめる方法は乏しく、詳細を知ることは困難です。
今回は、アメリカで配信されたドラマがどのように自殺者に影響したのか、統計をもとに考察した論文をご紹介します
アメリカにおける若者の自殺増加と「13の理由」放映との関連
“13 Reasons Why(13の理由)”というアメリカのドラマをご存知でしょうか?
自殺した少女が残した録音テープによって、自殺に至った「13の理由」が明かされるというストーリーで、Netflixで2017年にシーズン1が放映され、非常に話題となりました。
2018年5月にはシーズン2の放映が開始されています。
今回は、このドラマの放映後3か月間の自殺者数の増加が調査されました。
結果として、この期間の10歳から19歳の自殺者数は、男性で12.4%、女性で21.7%増加していました。
①ドラマの主要メンバーである10代以外での自殺者数増加が見られなかったこと
②通常自殺の多い男性ではなく、ドラマで自殺した女性での増加が多かったこと
③自殺方法もドラマと関連するものが選ばれていること
などから、ドラマがこの時期に見られた急激な自殺者数増加に影響している可能性を示しています。
このドラマについて断言することはできませんが、様々なメディアが自殺者数に何らかの影響を与える可能性は高いと考えられます。
作成する側にも様々な意図があったと思われますが、視聴者への影響を考慮する感性ははモノづくりをする方たちにも必要であると感じました。