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もりさわメンタルクリニック

精神病と内因性マリファナ様物質


人間の体内には元々マリファナの受容体を刺激する物質(内因性マリファナ様物質)が備わっていて、生殖・妊娠・痛覚・胎生期/出生後の発達・食欲・記憶・気分等の様々な領域で影響すると言われています。

さらに統合失調症をはじめとする様々な精神病性の疾患では、その内因性マリファナ様物質の働きが大きくなっていることが、様々な研究で示されています。

今回は、精神病性疾患(以下、精神病)で、内因性マリファナ様物質にかかわるしくみ(以下、ECS:Endocannabinoid System)がどのように変化しているのかを検証したメタアナリシス(複数の研究を統合してより信頼性の高いデータを得ようとする研究)を紹介します。

精神病におけるECS障害の測定

18の研究が分析の対象となりました。

226人の参加者を含む5つの研究では、精神病患者における脊髄液中の内因性マリファナ様物質濃度が、健常者より高くなっていました。

344人の参加者を含む9つの研究では、血液中でも同様の変化を認めました。

88人の参加者を含む3つの研究では、末梢の免疫細胞における内因性マリファナ様物質の受容体の発現が増加していました。

さらに、精神病の症状の重症度とECSの活性は関連し、治療が効果をあげて病状が落ち着いた後には、ECSの活性が低下することが示されていました。

つまり、全体として精神病ではECSの活性が増大し、それは測定値として客観的に把握が可能であるということが言えます。

上記の結果から、論文中で述べられているように、現在の臨床では明確に示しにくい精神病の重症度が数値化できるかもしれません。

また、ECS自体が治療の標的にもなりうる可能性を示しているように思われました。

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