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脳の脈絡叢の大きさと精神病との関連


脳の中にはいくつかの部屋(空洞)があり、それらは脳室(のうしつ)と呼ばれます。

脳室の一部に接する部位に脈絡叢(みゃくらくそう)といわれる部位が存在し、脳室を満たしている脳脊髄液の循環において中心的な役割を担っています。

この脈絡叢は、上記以外にも人体における生理的バリア(障壁)の役割もしており、炎症に関連する物質や、神経発達上重要な神経や血管の成長を促す因子を産生することが知られています。

今回は統合失調症などの精神病性疾患では、この脈絡叢が肥大していることを示した論文をご紹介します。

精神病性疾患における脈絡叢の肥大と認知・炎症・構造的表現型の関連

精神病に罹患した本人とその血縁者、そして健常者の脈絡叢の体積が比較されました。

脈絡叢の大きさは、精神病患者>その血縁者>健常者 の傾向があることが示されました。

また、脈絡叢の体積が大きいほど、認知能力は低く、灰白質が少なく、扁桃体という脳の部位や側脳室が大きいことが分かりました。

頻度的に関連が示されただけで、実際のしくみについては不明なので、現時点では明確なことは言えませんが、今後脈絡叢が行っている神経系の免疫を司る役割も、精神病性疾患において、研究や治療の標的となる可能性があると考えられました。


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