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遺伝的な発見を治療に生かす


精神科の領域でも様々な遺伝子上の変異が発見されています。

しかし、それらの発見が、適切な治療内容に結びつく例は乏しく、遺伝的な発見と治療内容との間には大きなギャップがあるのが現状です。

今回は、希少な遺伝子変異をもつ親子で、遺伝情報に基づく治療が実際に効果をもたらすのかを調べた研究です。

グリシン脱炭酸酵素の遺伝子コピー数の異常をもつ場合の、精神病症状に対するターゲット治療

同じ遺伝子変異を持ち、精神病症状が出現している親子について二重盲検試験(薬を投与する側もされる側も、使用しているのが実薬か偽薬か知らない方法)が行われました。

この親子が持っている希少な遺伝子変異は、グリシン脱炭酸酵素の情報をコードしている部分で通常のコピー数が2であるのに対し、この親子では4となっています。

そして、この変異によってもたらされると予想される機能異常を補うために、1回目の試験ではグリシン、2回目の試験ではD-サイクロセリンが投与されました。

そして、どちらの場合も、遺伝子変異から予想された機能異常を補償する治療が偽薬よりも効果を上げました。

このことによって、遺伝的発見⇒特別な治療という流れが可能であるという証明(proof-of-principle:概念実証) が行われたことになります。

今まで、「発見はあっても治療はなし」という状況が、やっと好転する兆しとして大きな意味のある研究であると思われました。

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