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脳白質の構造変化と統合失調症の治療抵抗性


統合失調症の症状に対して2種類以上の抗精神病薬を十分な期間(例として4週間以上)使用しても効果が得られない場合、「治療抵抗性」という表現を用いることがあります。

今回は、脳の白質の構造変化が統合失調症の治療抵抗性と関係しているのではないかという内容の論文です。

統合失調症の治療抵抗性と白質の変化

調査の対象者は以下のような構成になっていました。

①薬物治療を始めたばかりの統合失調症患者(45人)

②症状が治療に反応する統合失調症患者(40人)

③症状が治療抵抗性の統合失調症患者(37人)

④対照としての健常者(78人)

上記の対象者に対して画像的な白質欠損の指標として計算される「脳白質脆弱指数(試訳):White matter regional vulnerability index (RVI)」を求め、認知能力の測定を行いました。

結果として、上記③の治療抵抗性グループは他のどのグループより高いRVIを示し、また、治療開始後間もなくの①は④の健常者より高いRVIを示していました。

また、RVIは認知能力の低下や陰性症状の重症度とも関連していました。

つまり、脳の白質における構造変化は認知能力の低下や治療抵抗性、統合失調症の症状と関連していることが示されました。

今後、このような指標が治療方針に生かされたり、灰白質に比べると注目されることの少ない白質が治療のターゲットになる可能性があるように思われました。

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