rTMS:反復経頭蓋磁気刺激は磁気による刺激を頭の外部から与えることで脳の血流を増やし、うつ病の改善に役立つ治療法です。
薬が効きにくい“治療抵抗性”のうつ病に対しても効果が確認されており、欧米では多くの国々で認可されていますが、日本ではまだ一部の医療機関が行っているのみであるのが現状です。
今回は標準的なTMSとより“深い”TMSとでどのように効果が異なるのかを調べた研究をご紹介します。
8の字コイル(標準的)TMSとH1コイル(深い)TMSでうつ病に対する効果がどのように異なるか
230人の“治療抵抗性”うつ病患者が調査の対象となり、
①薬物療法+標準的TMS
②薬物療法+“深い”TMS
③薬物療法のみ
のグループにランダムに振り分けられました。
まず、薬物療法のみよりは、TMSを加えた方が(いずれのTMSであっても)寛解率が高くなっていました。
また、“寛解”と言えるほど症状が大きく改善したわけではないが症状の軽減が明らかな場合を“反応”といいますが、“深い”TMSでは標準的TMSよりも、この反応率がかなり高くなっていました。
今回ご紹介した研究ではコイルの性質によって同じTMSでも効果が異なることが示され、最も効果が高いのがH1コイルのTMS+薬物療法であると考えられます。
日本でこのような治療が標準的になるまでには、まだ時間がかかると思われますが、それまでに安全性や効果に関する知見がさらに集められることが望ましいと思われました。