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脳の電位変化から統合失調症の発症を予測する


注意の集中度を測る検査にP300とよばれる脳波上の電位変化があります。

これは標的としている刺激(ある種のブザー音等)がした時に、他の刺激と聞き分けて、そこに意識を集中することで起こる電位変化(刺激から250ms~500msで起こる陽性の電位)を記録するものです。

統合失調症ではこの電位変化が減少していたり、欠如していたりすることが、知られています。

今回は、この電位変化が、統合失調症の前兆が出現している時期に、次に発症に移行するか予測するための指標としての有用性を調べた研究をご紹介します。

聴覚刺激に対するP300の反応と統合失調症前駆症状の臨床経過との関連

アメリカにおける研究で、552人の統合失調症前駆症状の基準を満たす患者さんたちが対象となりました。

結果として、標的とする刺激に対するP300電位変化の欠如が、統合失調症の発症と関連していることが分かりました。また、電位変化の減少は、統合失調症発症までの期間の短さと関連していました。

また、前駆症状があっても、その後2年間は発症せずに経過するか、症状の軽快を示した場合は、最初の時点でのP300電位変化が通常通り認められていました。

これらのことより、注意集中の指標として用いられるP300電位変化が統合失調症の発症を予測する指標(バイオマーカー)として有用である可能性が出てきました。

バイオマーカーの少ない機能性精神疾患の一つである統合失調症で、このような客観的所見が見つかることは患者さんの利益につながる可能性が高いと思われました。

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