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透析導入患者と精神疾患


がん患者では、うつ病の発症や自殺率が高まることが知られていますが、必ずしも死に至る可能性のある疾患のみでなく、多くの慢性疾患で精神疾患の発症率が高まり、さらにそれが身体疾患への悪影響を及ぼす病態が認められます。

今回は、透析が必要な段階に達した腎疾患:end-stage renal disease (ESRD)について、入院が必要となる危険性や死亡率への影響をみた研究について説明させてください。

透析導入後の末期腎疾患患者における精神疾患と死亡率

1996年から2013年の間に透析を導入した末期腎疾患患者について、①21歳以下の9196人、②22歳から64歳までの398,418人、③65歳以上の626,344人が調査の対照となりました。

透析導入後の1年間ので、透析以前から精神疾患があった場合(一次性)と後から合併した場合(二次性)とを合わせると、入院に至った割合は①の年代で16%、②で27%、③で21%でした。

さらに、成人以降では精神疾患がある場合、(ない場合と比較して)死亡率が29%(一次性)、11%(二次性)それぞれ上昇するという結果となりました。

このように精神疾患の有無は一次性でも、二次性でも身体疾患の経過に大きな影響を与えることが分かりました。

心療内科・精神科を受診される方には、慢性の身体疾患を合併されている場合も多く、身体疾患の病状や全身状態と身体疾患との相互影響関係に注意しながら、慎重に治療を行っていく必要性を感じました。

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