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子ども時代の逆境体験が世代を超えてもたらす影響


昨日、逆境体験による影響に関わらず、ポジティブな体験が成人後の精神衛生を支えることを説明しました。

逆境の体験が厳しくても、その後の体験によっては精神状態の経過に良い変化をもたらすことができることを示唆しており、援助の可能性に希望がもてる内容でした。

本日は、虐待や機能不全に陥った家庭等の逆境が、世代を超えてどのような影響をもたらすのか、染色体の構造上の特徴や、発達早期の問題から考えた研究について説明します。

子どもの逆境体験:子孫におけるテロメア長変化と精神病理

155組の妊婦と出生児のペアが調査の対象となりました。妊婦の子ども時代に経験した逆境体験や子どものテロメア長(染色体の末端構造でストレスや加齢により損耗するとされている)、発達早期の問題徴候等が調べられました。

結果として、

①母親の子ども時代における逆境体験は出生児のテロメア長減少や問題徴候と関連していました。

②生後4ヶ月から18ヶ月でのテロメアの減少は、児の問題徴候と関連していました。

以上のことより、子ども時代に虐待等を体験した場合、その影響は母親から世代を超えて、まだ環境の影響を受けていない新生児に受け継がれていると思われました。また、その結果は染色体の構造変化という客観的な所見として確認可能でした。

今までにも、多くの精神的ストレスが個人に生物学的な影響を残すことが示されていますが、単に個人内での問題のみではなく、世代を超えた影響についても検討する必要があると考えられました。

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