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コロ妄想について


軽度認知障害に合併した稀な内容の妄想である“コロ妄想”の症例が提示されていたので、説明させてください。

アルツハイマー病による軽度認知障害に合併したコロ妄想

コロ妄想とは、自分の男性器が後退し、腹部にめり込むことによって重大な事態(死を含む)を来すのではないかと切迫した不安を伴う考えのことです。

日本、中国、東南アジアに比較的多く認められ、地域性・文化との関連が指摘されていましたが、最近では広範囲に症例が認められることが分かり、もっと世界共通に認められる要因によるのではないかと考えられています。

単独の妄想として生じることもありますが、類似の病態として醜形恐怖/身体醜形障害があり、また、不安障害やパニック障害、身体表現性障害、解離性障害、離人症、精神病性うつ等の経過中、去勢不安に似た形態をとって現れることがあります。

今回提示されていたのは、78歳の男性でMMSEという認知能力を測定する検査で28/30と大きな失点のない方です。単独で生活も可能で、遂行能力も大きく障害されていない状態でした。

通常、認知症で精神病症状(妄想や幻覚)を伴うのは中等度以上からで、代表的なところでは自分の物品や金銭を他者に取られたのではないかと考える「物盗られ妄想」や視覚的な幻覚(レビー小体型認知症におけるリアルな幻覚が有名)が知られています。

今回の症例報告は、軽度認知障害に合併した稀有な妄想の例として、最初の報告であるとしています。

妄想には被毒妄想や追跡妄想、注察妄想等の自分が被害を受けることに関する原始的な恐怖・不安に基づくものが多く、様々な病態で、人間が内奥に持っている不安に結びついた妄想が出現する可能性があると考えられました。

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