今回は、アルツハイマー病等の認知症とADHDとの関連を同じ家系内での発症率で調べた研究をご紹介します。
スウェーデンの全国的な疾患データを用いた研究で、1980~2001年に出生した個人とその血縁者が研究の対象となりました。
遺伝的影響を調べるために、同じ家系内でどのようにADHDとアルツハイマー病の発症が関連しているのかを調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①約200万人の個人の血縁者のうち、3,000人の両親、17万人の祖父母、1300人の叔父叔母(伯父伯母)がアルツハイマー病の診断を受けていました。
②ADHDの個人の両親はアルツハイマー病のリスクが上昇していました。(疾患等の起こりやすさの目安ハザード比1.55倍)
③祖父母や叔父叔母(伯父伯母)ではリスク上昇は小さくなっていましたが、軽度の上昇を認めていました。
③他の認知症でも同様の傾向を認めていました。
つまり、“ADHDに罹患した個人の家系内では、一定の認知症リスクの上昇がある”と言えそうです。
遺伝的に単一の要素を見つけることを目的とした調査ではありませんが、ADHDと(アルツハイマー病以外も含む)認知症は、発症をもたらす背景の一部を共有している可能性が考えられました。
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