これまでの研究からADHDの児童に対しては、まずペアレントトレーニング(親の関わり方指導)や行動療法がすすめられています。
今回はこのようなガイドライン上のすすめにも関わらず、アメリカにおいてペアレントトレーニングや行動療法があまり行われていない実態について調べた研究をご紹介します。
小児科医がADHD関連症状に行動療法を勧めている割合
アメリカの疾患データを用いた研究で、基準を満たしたADHD関連症状を認める約200人が分析の対象となりました。
小児科領域のプライマリ・ケア医がADHD関連症状に関する小児の受診のあった際に、どのような治療を行っているのかを調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①192人中21人(11%)がペアレントトレーニングや行動療法の紹介を受けていました。また、55人(29%)が行動療法に関するカウンセリングについて説明されていました。
②17%がADHDの薬物療法(そのうち88%が中枢刺激薬)を受けていました。
③一番多く行われていたのは、行動や習慣に対する一般的な諸注意(糖質摂取の制限、サプリメントの追加、睡眠の改善、ゲームや携帯の制限等)でした。
つまり、“ガイドラインでは最もすすめるべき治療とされているにも関わらず、行動療法が導入されている場合は少ない”と言えそうです。
日本では、さらに行動療法自体が入手(アクセス)困難で、専門性や技術・経験の蓄積が少ない背景があると思われます。今後、ADHDの児童をどのように行動療法につなげるかが課題であると感じました。
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