COVID-19感染後に集中困難・処理速度や視力の低下等が生じることがあり、特に認知機能低下について“ブレイン・フォグ”と呼ばれることがあります。
今回は、このような認知や視力の低下した例に対してニューロモデュレーション(神経刺激)が有効か調べた研究をご紹介します。
COVID-19感染後遺症に対する非侵襲的脳微小循環刺激療法が血管の機能不全を軽減し、視力・認知障害を改善する
1人(40歳)はCOVID-19感染後、もう1人(72歳)はCOVID-19のワクチン接種後に視力・認知機能低下を来した症例です。
この2人に約2週間、非侵襲的微小電流脳刺激(non-invasive brain stimulation using microcurrent : NIBS)を行いました。
結果として、以下のことが示されました。
①両者とも3~4日で視野の狭窄が改善しました。
②1人では認知機能の一部が治療前に比較して40~60%改善し、以後もその機能が保たれていました。
③血流を調べる機器(dynamic vascular analyser : DVA)では、末梢血管の機能(拡張・収縮)が正常化している様子が確認できました。
つまり“COVID-19感染後に生じる視力・認知機能低下に対して、微小電流による神経刺激は循環改善を介して改善効果を発揮する可能性がある”ということです。
2人だけの症例報告で、まだ有効性について何とも言い難い段階ですが、今後の検証が期待される内容でした。
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