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うつ病と思われていた脳腫瘍の例

#うつ病 #脳腫瘍


体の病気だと思っていたら精神疾患だったという場合もあれば、その逆もあります。


特に精神疾患の初診を行う上で非常に重要なのが、体の病気を思わせる所見を見逃さないことですが、これが非常にわかりにくいこともあります。


今回紹介する症例は、脳腫瘍なのに局所的な神経症状を(少なくとも長期に渡り)認めなかった場合です。


うつが脳腫瘍を隠すとき


69歳の女性で、15年間にわたる繰り返すうつ症状で悩まされてきました。どの抗うつ薬に対しても効果は乏しく、失感情・意欲低下・不眠が継続し、自殺企図を行ったこともありました。抑うつ・無気力・自己ケア能力の低下・著しい食欲低下と不眠が出現し、薬物療法に抵抗性で認知能力の低下も伴った病態悪化がみられたことをきっかけに、身体的な原因検索を行うことになりました。

血液検査上は問題がありませんでしたが、画像検査では左前頭葉に膠芽腫(最も悪性度が高いとされている脳腫瘍)が発見されました。手術が行われ、うつ症状は改善せず、記憶と言語機能は改善を認めました。


以上のように、脳腫瘍でも麻痺などの局所的な神経症状をほとんど伴わない場合があり注意したいと考えました。


特に、長い間経過を追っている場合でも、病態が変化したときには“一応精査を…”と言う慎重さが大切であると感じました。


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