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“リソースグループ”によるエンパワメント効果


無力感を克服し、自分の生活へのコントロールを取り戻すことについて、“エンパワメント”という言葉が使われることがあります。


また、精神疾患に罹患した人の支援法として、“リソースグループ”を用いた方法があります。これは、プロの支援員がガイドしながら、最初に自分を助けてくれる人たちを指名して“リソースグループ”を作り、ゴールを設定した上で、そのリソースグループ全員でゴールを目指す手法です。


今回は、通常の支援法とリソースグループをエンパワメントの側面から比較した研究をご紹介します。


エンパワメント、QOL、生活機能を改善するためのリソースグループの有効性


重い精神疾患(severe mental illness)の基準を満たす18~65歳の158人(平均38歳)が対象となりました。


対象者をリソースグループと通常の支援を行う集団に分け、支援の開始から9ヶ月と18ヶ月で評価を行いました。


結果として、以下の内容が示されました。

①エンパワメントについて、リソースグループを用いた支援の方が、明らかに改善を示していました。(効果の大きさを示すコーエンのd=0.54)

②その他の指標についても、リソースグループの改善の方が通常の支援よりも改善を示しており、それぞれに関して効果の指標としてコーエンのdを示すと、QOL: 0.25、個人的回復: 0.38、社会的接触の質: 0.24、機能障害: 0.29、全般的機能: 0.30となっていました。


つまり、“自分で指名した支援グループを設定する方法を用いると、精神疾患からの回復、特に無力感の克服に有効である”可能性がありそうです。


リソースグループのどのような要素が特に有効なのかが分かると、プログラム全体の導入が難しくても、普段のケアに取り入れることができると思われました。個人的には“協働の感覚”が重要ではないかと感じています。

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