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仮想現実の認知行動療法で妄想の改善が得られるか?


統合失調症等の精神病性の疾患では、精神症状として妄想をしばしば認めます。


現実にはあり得ないような確信の強い思いをもつことによって、他の人が疑わしく思えたり、外出するのが怖くなったりして、社会とのつながりを絶つようになることもあります。


このような妄想の症状に対して、現実の把握や症状との付き合い方を助けるような認知行動療法の効果を認めることがあります。


このような認知行動療法を仮想現実(VR)を通して行った場合に効果を認めるか調べた研究をご紹介します。


妄想や引きこもりを伴う精神病に対する仮想現実に基づいた認知行動療法の効果


症状として妄想を伴う精神病に罹患した18~65歳の116人が調査の対象となりました。


仮想現実を用いた認知行動療法(以下VR-CBT)が、通常の治療に加えるかたちで、それぞれ1時間16回行われました。


対象者をランダムにVR-CBTのグループと通常の治療のみを行うグループに分けて、治療開始と治療終了後、そしてフォローとして6ヶ月後の状態を評価しました。


結果として、社会参加の程度(他の人と過ごした時間など)については違いがなかったものの、妄想的な着想が頭に湧いてきたり、不安が強くなったりする症状については、VR-CBTのグループの方が明らかに改善されており、効果は6ヶ月後にも持続していました。


通常、妄想に対しては薬物療法が行われますが、仮想現実を用いた認知行動療法であっても、追加で認知的アプローチを加えた方が、症状の軽減に役立つ可能性が示されました。


認知行動療法を整った構造で行うことは難しいですが、通常の治療を行う場合でも、認知的な側面を考慮ながら行うことが望ましいと思われました。


#妄想

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