top of page

境界性パーソナリティ障害に対する遠隔治療の有効性


パーソナリティ障害に対する薬物療法は二次的に認めるうつ症状や不安、不眠、衝動性についての対症療法にとどまることが多いと思われます。


一部で心理療法が行われていますが、経済的な負担や提供地域が限定されており、アクセスが困難な状況が続いています。


今回は、パンデミック前には対面式の境界性パーソナリティ障害に対する心理療法がある程度可能であったアメリカで、遠隔治療の有効性について検証した研究をご紹介します。


境界性パーソナリティ障害の部分的入院における遠隔治療の効果


境界性パーソナリティ障害に罹患している64人(入院、グループ遠隔治療実施)と、対照として対面式治療を実施した117人を比較しました。


心理療法のコンテンツとしてはパーソナリティ障害の治療法として実績のあるACT(アクセプタンス&コミットメントセラピー)が選ばれています。


結果として、以下の内容が示されました。

①両方のグループで「とても」か「大変、非常に」満足した割合が高くなっていました。(遠隔90%、対面85%)

②両方のグループで、うつ症状からの改善を示すRemission from Depression Questionnaire (RDQ-M)という尺度でほぼ同等の改善効果を示していました。

③平均の出席日数は遠隔治療の方がやや多くなっていました。


つまり、“境界性パーソナリティ障害に対する遠隔治療は、対面式とほぼ同等の効果を持ち、治療の受けやすさ(アクセシビリティ)の点では特に有利である”と言えるかもしれません。


パンデミックの状況下、対人的接触回避の必要性から生まれた方法ですが、広い地域で安価で有効な心理療法を実施するために、今後も選択肢として存在することが望ましい方法であると思われました。

閲覧数:131回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page