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抗精神病薬の用量による効果の違いについて



薬剤は(認められている用量の範囲で)多く使用すれば、その分良く効いてくれるはず……そのように考えて薬の量が増やされる場合が多いと思います。


しかし、案外この 多い使用量→強い効果 というのは明らかになっていない場合もあり、また、本当はどの程度使用したら十分なのかについても強い根拠が存在するわけではないことがあり得ます。


今回は、治療を行う上では非常に重要なはずなのに、知識があいまいなままになっている使用量と効果との関連について、多くの論文を分析して信頼性の高い証拠を見出そうとする“メタアナリシス”をご紹介します。


急性期統合失調症の治療における抗精神病薬の用量と効果の関係


基準を満たした68の論文が分析に含まれました。


日本でもよく使用される抗精神病薬について、95%有効量(人口の95%に十分な効果を発揮すると考えられる用量)/リスペリドン(日本でもよく使われる標準的な抗精神病薬)1mgと同等の効果を発揮すると考えられる用量の順に示すと以下のようになりました。


リスペリドン6.3mg/1mg、アリピプラゾール11.5mg/1.8mg、オランザピン15.2mg/2.4mg、クエチアピン482mg/77mg


概ね有効な用量が現在認められている服用量の中におさまっていますが、今回分析の対象となった抗精神病薬の中には(許容されている使用量の中で)効果が平衡に達していないものも存在し、もっと用量を増やしたところが適切な使用量である可能性もあります。


症状によっても至適用量は異なり、一概には言えませんが、今後も効果と副作用を確かめながら、その方の病態にとって適切な用量を見極めたいと考えました。



#統合失調症 #薬物療法


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