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顔に反応する脳波で自閉症のスクリーニングが可能か?


自閉症は人口のおよそ1%に出現すると言われる障害ですが、乳児期にはその特徴が捉え難く、適切な療育の開始時期が遅れてしまうことがあります。


今回は、顔を見たときの脳波の変化(事象関連電位:成人ではN170、乳児ではN290と呼ばれる電気的変化)の特徴を調べて、早期の診断に役立てることができないか、という内容をご紹介します。


自閉症の多遺伝子による傾向と顔に反応する脳波の関連


104人の乳児(平均8.3ヶ月、女性53人)が研究の対象となりました。


顔を見た時と顔以外を見たときの脳波の差異や、多くの遺伝子から分かる自閉症になりやすい傾向(多遺伝子スコア)を調べました。


結果として以下の内容が示されました。

①後に自閉症スペクトラム障害と診断された乳児では、顔と顔以外の刺激に対する脳の反応の差異(N290の潜時)が減少していました。

②自閉症の多遺伝子スコアが高い場合には、顔に反応したN290と呼ばれる電位変化が生じる潜時が短くなっていました。

③特徴的な電位変化と多遺伝子スコアを組み合わせると乳児の自閉症を見分ける力が高くなりました。


つまり、“脳の特徴的な電位変化と遺伝子の特徴を合わせると乳児の自閉症を早期に見つけられる”可能性が示されました。


行動上の特徴が見いだされるのはもっと成長してからの段階なので、もし高い信頼度で自閉症の可能性を指摘できるのであれば有用な検査であると思われました。


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