top of page

統合失調症の感情的側面に関する薬剤の効果


統合失調症の症状を、幻覚や妄想などの目立つ症状(陽性症状)と、感情の鈍化や活動性の低下に代表される目立たない症状(陰性症状)に大きく分けることがあります。


特に今回は、陰性症状の中でも感情的側面(感情の表出と経験)に焦点を当てた評価で、新しい薬(Roluperidone:セロトニン5-HT2A受容体のアンタゴニスト)の効果をみた研究をご紹介します。


陰性症状の2次元評価におけるロルペリドンの効果:感情体験と表出の減少


特に統合失調症の慢性期においては、感情の自然な表出(喜怒哀楽)や嬉しい・悲しい等の感情的体験が減少すると言われます。


今回は、この点に注目して、244人の症状の安定した統合失調症罹患者(PANSSの陰性症状スコアが20点以上)を対象とし、ロルペリドンの効果を観察しました。


研究の対象者をロルペリドン32mg、64mg、偽薬に1:1:1に分けて、症状の経過をみました。


結果として、ロルペリドンは(32mgと64mgの両方で)、偽薬よりも感情表出や感情体験に関する尺度を改善していました。(64mgの方が改善の幅は大きくなっていました)


つまり、“(通常とは違う受容体に作用する)ロルペリドンは他の薬剤では効きにくい感情的側面への効果が期待できる”と言えそうです。


陽性症状の軽減が急性期には重視されますが、その後も長い療養生活が続くことが多く、自然な感情体験等にも配慮が必要であると考えられました。


閲覧数:28回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page