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認知症の行動心理兆候(周辺症状)と病理所見との関連


認知症では、記憶・理解・判断・遂行能力等の認知能力低下以外に、行動上の障害や幻覚などの精神症状が出現する場合が多く、行動心理兆候(周辺症状)と呼ばれます。


今回は、行動心理兆候を含む様々な症状と脳の病理的な変化との関連を調べた研究をご紹介します。


神経精神症状とアルツハイマー病及び類縁疾患の神経病理診断との関連


アメリカのNational Alzheimer Coordinating Centerの資料を用いた研究で、アルツハイマー病等の認知症に罹患した1808人(調査開始時点では平均80歳)が対象になりました。


毎年の精神症状記録(Neuropsychiatric Inventory Questionnaire :NPIQ)と死後の脳病理所見との関連が調べられました。


結果として、以下のことが示されました。

①幻覚はアルツハイマー病(以下、AD)+レビー小体型認知症(以下、LB)で、それぞれ単独の認知症よりも多くなっていました(AD+LB:31.5%/ADのみ:21.6%/LBのみ:19.6%)

②アパシー (失感情・無気力)は海馬の硬化(sclerosis)が認められた場合には非常に多く認められました(80%)。

③前側頭葉の脳萎縮はアパシーと脱抑制(感情や衝動の抑制がきかない状態)の増加、精神病症状や攻撃性の減少に関連していました。


つまり、“脳の病理所見・部位と症状との間には一定の関連を認め、その部位が担っていた機能との関連が推定される”と言えそうです。


今までも指摘されてきた前頭葉の萎縮→脱抑制(前頭葉が抑制機能を担っていた裏返し)等の証左となっている結果が含まれており、参考となりました。

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