妊娠高血圧症候群(「妊娠高血圧症候群とは?」日本産婦人科学会)に含まれる子癇前症(妊娠高血圧腎症)とは妊娠中の高血圧や蛋白尿を特徴とし、胎児や母体に深刻な影響を及ぼす可能性のある病態です。
以前にこの病気に関する、発達障害との関連についての研究をご紹介しました。(「子癇前症と発達障害の関連」)
その他にも様々な影響が指摘されていますが、今回は出産した児の精神疾患全般との関連を調べた研究をご紹介します。
妊娠高血圧症候群と出産児の精神疾患
フィンランドにおける研究で、4,743組の母子について母体の健康状態(血圧変動や腎障害を含む)や児の発達(およそ6~10歳)について調べました。
結果として以下の内容が示されました。
①子癇前症(妊娠高血圧腎症)がある場合はない場合に比べて、出産した子どもが精神疾患を発症するリスクが1.66倍、重度の場合は2.01倍となっていた。
②子癇前症(妊娠高血圧腎症)以外にも妊娠高血圧+糖尿病+肥満では、子ども精神疾患の発症率が6.6%⇒22.2%と増加していた。
これらのリスクは父母の精神疾患や早産等の要因を排除して計算されており、現在のところ独立して影響を与えている要因と考えられます。
子どもの発達に影響を与える要因は子癇前症(妊娠高血圧腎症)以外にも様々なものが考えられますが、上記の結果からすると単独の妊娠中の病態ではかなり警戒すべきものの一つと言えそうです。
#妊娠
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