腫瘍や物理的な刺激等の神経への直接的影響によって生ずる疼痛を、神経障害性疼痛や神経因性疼痛と呼びます。
最近では、疼痛そのものの日常生活への影響が大きい場合にこの病名が使われる傾向がありますが、今回はこの神経障害性疼痛へのプラセボ効果について、効果が大きくなる要素等を調べた研究をご紹介します。
末梢性神経障害性疼痛に関してプラセボ効果の大きさに影響を与える要素
デンマークにおける研究で、神経障害性疼痛のある318人について、反復的な刺激による疼痛の惹起に関する定量的な評価を行いました。
疼痛の程度を10段階で評価し、疼痛について日々の変化と週毎の平均値の変化を調べました。
結果として、全体的にプラセボの反応は小さく、平均の変化は10段階で0.17ポイントとなっており、変化の大きさに影響を与える要素(治療の間隔、プラセボ使用回数、年齢、感覚系の症状、疼痛の性質)は見当たりませんでした。
また、プラセボ効果があった43人と、プラセボ効果がなかった275人で、症状などについて異なる要素はありませんでした。
つまり、神経障害性疼痛について、全体的にプラセボの効果は少なく、影響を与える特定の要素も見当たらないということになります。
鎮痛の効果を比較する上で、プラセボ効果を可能な限り除くことは重要と思われますが、今回の研究ではプラセボの影響がどのような要素によるのか分かりにくい結果となっていました。
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