うつ病の治療には抗うつ薬が用いられますが、効果が不十分な場合もあり、新たな抗うつ薬の開発や別の治療法が求められています。
今回は、男性の更年期障害でも注目された男性ホルモンの補充療法(テストステロンの投与)について男性のうつに対する効果をみた研究をご紹介します。
Association of Testosterone Treatment With Alleviation of Depressive Symptoms in Men テストステロン治療と男性うつ病の症状軽減との関連
27の研究を含むメタ解析(複数の調査を合わせて、そこから新たに信頼の高い結果を得ようとする研究手法)で2000人近い男性のデータが対象となりました。
男性ホルモンを加えた場合の治療効果をみてみると、そうでない場合に比べて、大きく症状の軽減を認めていました。特に高い用量で比較した場合の効果は明らかで、効果は用量依存性(多く服用した方が効果が高いということ)に高まることが示されました。
また、プラセボ(偽薬)と比べて忍容性(薬の服用に耐えられるか、中断の主な理由としては副作用が考えられる)も大きな差がなく、副作用もほとんどみられないと推測されました。
この結果を見る限り、男性ホルモンを男性のうつ症状の治療に追加することは、症状の軽減に役立つ可能性が高いと思われます。
今後、より信頼性の高い調査による効果と安全性の確認が待たれます。