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子ども時代の強迫症状で将来の精神疾患を予測できる


時々診察で強いこだわりを持つお子さんに出会うことがあります。

特に、集団生活になじめない方の中に自分のやり方や自分の世界が乱されることへの拒否反応を示しているような場合が多いと感じます。

不登校におけるこのような傾向は、発達障害で認められることも多いので、検査を希望されるきっかけの一つにもなります。

今回はこのような「こだわり」の中でも、やや強く日常生活に影響があるときの呼び名である「強迫症状」についての研究です。

地域の若年者における強迫症状の症候学: 典型的な発達?、それとも精神病理学上の危険信号?

アメリカのフィラデルフィアに住む11歳から21歳の若者7000人以上が対象となりました。

1.「強迫症状」は対象者の38.2%に存在し、この症状がありふれた症状であることが分かった。(しかし同時に「強迫性障害」の基準を満たすのは3%で、強い影響を持つ症状は少ないとも言える)

2.「強迫症状」を大きく分けると①しつこく湧いてくる嫌な考え(強迫観念)②繰り返しの確認行為 ③対称な配置へのこだわり ④洗浄行為あるいは汚染への恐怖 ⑤溜め込み(捨てられない傾向)となっていました。

3.若い時の「強迫症状」は生涯におけるうつや精神病など精神疾患全体に罹りやすくなる傾向を示していると考えられました(論文中では明確ではありませんが、研究者のコメントで特に侵入的な不快な強迫観念を認めた場合、通常の3~5倍の罹患率になると言います)

以上のようなことから、小さい時の強迫症状を“red flag(危険信号)”として考えるべきであるとしています。

仮に上記のような認識があったとしても、具体的にどのようにすれば良いのか疑問が残りますが、些細な症状でも休養をとり、早急に受診するといった精神疾患を疑う閾値を下げる対応が有益であると思われました。

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