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脳刺激によるうつ病治療の有効性


先日はヘッドホン型の脳刺激装置のニュースをお伝えしました(記事:ニュースヘッドフォン型装置で不安・うつ・不眠を改善する)。

うつ病は基本的に寛解する病気ですが、中には「治療抵抗性」と言われる環境調整や薬物・心理療法の効果が認められにくかったり、副作用が強すぎて薬物が使用できない病態が存在します。

特にそのような場合に、(日本では普及していませんが)様々な方法による「脳刺激」を行う方法が検討される場合があります。

現在、「脳刺激」の方法として知られているのは電気けいれん療法(ECT)、反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)、theta burst stimulation(TBS)、magnetic seizure therapy(MST)、経頭蓋直流刺激(tDCS)等があります。

今回は、これらの方法が実際に有効なのかを調べた総合的な分析(メタアナシリス)について説明します。

非手術的脳刺激を用いた成人うつ病に対する急性期治療の比較的効果

6750人(平均47.9歳、男女比41:51)の参加者を含む113の試験が分析の対象となりました。

最も研究が多かったのが、rTMSとtDCSで「脳刺激」の中で注目度が高いことや一般的にも治療が受け入れられつつある現状が伺えました。

ほとんどの「脳刺激」が実効のないプラセボとしての行動(シャム:偽治療)よりも効果を上げていましたが、効果の高かった順に例を挙げると、両蟀谷(こめかみ)のECT(9.91)、用量の高い右側一方のECT(7.27)、priming transcranial magnetic stimulation:Prime TMS(6.02)、magnetic seizure therapy (5.55)、 rTMS (4.92)、両側頭のtheta burst stimulation :TBS(4.44)、低反復周期の右側 rTMS (3.65)などがあります。※( )内は治療効果を偽治療に対して認める割合で示したオッズ比と言われる値。数値が高いほど効果の得られる割合が高いと考えられます。

結論として、現在「脳刺激」として一般的に認められている方法の多くは有効であり、特に「治療抵抗性」のうつ病や薬物過敏性を伴う患者においては、重要な代替(または追加)の治療となり得るという見解でした。

イメージ的には電気や磁気を用いて脳を直接刺激する「脳刺激」は怖いという印象があるかもしれませんが、薬物治療に比較して副作用が少ないが場合が多いことが知られています。

日本ではあまり普及していない治療法ではありますが、実際にはもっと検討されて良い治療法であると思われました。

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