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強迫性障害の遺伝性

要約:『強迫性障害の発症に影響する遺伝の要素は50%程度と思われ、残りは環境の要因に左右される可能性がある』





自分では理屈に合わないと感じていても、ある考え(例:何度も洗ったが、まだ手が汚れているのではないか?)が振り払えず、何度もそれを打ち消すための行為(例:長時間の手洗い)を繰り返す傾向について、“強迫性障害(強迫症)”と診断されることがあります。


今回は、双子を対象にして、強迫性障害の遺伝性を調べた研究をご紹介します。


Heritability of Clinically Diagnosed Obsessive-Compulsive Disorder Among Twins

双子における臨床的に診断された強迫性障害の遺伝性


スウェーデンにおける研究で、最終的には双子132,394人が対象となりました。


平均の診断年齢は22.34歳で、一卵性か二卵性を確かめて、遺伝的な要素がどのくらい強迫性障害の発症に影響するのかを調べています。


結果として、以下のような内容が示されました。


・一卵性双生児では強迫性障害の診断について、15組が一致、199組が不一致でした。一方、二卵性双生児では7組が一致、412組が不一致でした(互いにどれくらい関連があるのかを示すテトラコリック相関指数は一卵性で0.52、二卵性で0.21)。


・遺伝と環境的要因の影響を度合いを検討したところ、遺伝の要因は50%程度で、後は共有されていない環境の要因に影響を受けていると思われました。




今までに考えられていた遺伝の影響(40~50%)とほぼ同じ結果でしたが、双子が対象の大きな規模で確認されたデータとして貴重であると思われました。


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