甲状腺ホルモンの低下がある時に、認知能力低下が増加するのではないかという指摘があります。
今回は台湾の大規模なデータを用いて甲状腺機能低下と認知症の関連を調べた研究をご紹介します。
甲状腺機能障害と認知症のリスク
全国規模のデータ(the Taiwanese National Health Insurance Research)を用いた研究で、2006~2013年に認知症を発症した7,843人(平均74.9歳)と同人数の認知症のない人(平均74.5歳)が研究に含まれました。
“ケースコントロールスタディ”(注目している条件の有無によって、結果がどのように異なるのかをみる研究計画)を採用しており、認知症の発症に関連しそうな他の要素を調整した上で、甲状腺機能障害の有無と認知症の関連を調べています。
結果として、65歳以上では甲状腺機能低下の既往があったとき、81%の認知症発症リスクの増加がありました(オッズ比1.81倍)。さらにこれをホルモン療法が必要であった場合に限定すると、オッズ比が3.17倍に上昇していました。
つまり、“過去に甲状腺機能低下があったときには、その後認知症の発症が増えるかも知れず、特にホルモンの補充が必要なレベルではそのリスクが大きい”と言えそうです。
甲状腺機能低下症があったときには、その病態レベルに応じて速やかにホルモンの補充を図り、その後の長期経過では、認知症の発症にも注意が必要であると思われました。
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