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“聖なる薬草”でアルツハイマー病を防げる?


アルツハイマー病の治療薬の開発は難局に直面しています。アルツハイマー病で蓄積されるアミロイドの生成経路を阻害する薬剤の臨床試験の結果が芳しくなく、この経路を狙った薬剤開発が頓挫している状態といえます。

アルツハイマー病の重要な因子の一つに老化があるので、老化そのものの進行が止められない以上、根本的な解決の難しい課題と言えます。

老化は、非常に複雑で多数の要因の関与する過程であり、すくなくとも一つの経路でこれを制御することは困難と思われます。

そこで、一つの経路をねらって薬剤開発を行うのではなく、老化全般に認められる様々な特性を制御できる性質を求めて、薬草に含まれる成分の調査が行われました。

400種類の植物が調査され、一般的に老化の進行を抑制する特性をもつもの、あるいは神経細胞に対して保護的に働くものが抽出されました。

その中で特に注目されたのが、去痰薬として使用されていたハーブで、スペイン語で“聖なる薬草(イエルバ・サンタ)”といわれる植物です。

辞書では以下のように記載されています。

yerba santa 《植物》イエルバ[ヤーバ]・サンタ◆アメリカの中央カリフォルニアからオレゴン州の太平洋岸に分布する低木の常緑樹。痰を出す成分を含み、先住民族は葉をかんでぜんそくの治療などに使っていた。まれにアレルギー反応を引き起こす以外は、目立った副作用がなく、咳止めシロップなどに幅広く利用されている。学名はEriodictyon californicumまたはEriodictyon glutinosum。

実際、抗炎症作用が強く、現在実験内では神経細胞に対する強い保護作用があることが分かっています。

このような薬剤開発の手法は、ある反応経路に狙いを定めた方法とは異なり、“”phenotypic screening(表現型スクリーニング)”と呼ばれますが、イエルバ・サンタに限らず有効な治療法のない領域で新たな薬剤開発につながるとして期待されています。

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